マンガ ことはの心理相談室

臨床心理士が描く心理療法マンガ

被害に遭っても加害者を良く言う心理

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アメリカの心理学者フェスティンガーが、こんな実験をしました。

まず、被験者を3つのグループにわけ、

全てのグループに1時間、退屈でつまらない作業をさせました。

Aグループには作業だけ、

Bグループには、低額報酬(1ドル)を、

Cグループには、高額報酬(20ドル)を与えました。

 

作業の後、フェスティンガーはB、Cグループの被検者に、

「次の実験参加者に、実験は面白いと思わせるよう、自分の経験を説明して欲しい」と指示しました。

被検者は、退屈でつまらない作業であったにもかかわらず

面白い実験だと伝える、という矛盾(認知的不協和)を抱えたのです。

 

実験後、被検者に「実験は楽しかったか」と質問すると、

Aグループは「楽しくなかった」、

Bグループは「楽しかった」と

Cグループは「楽しくなかった」と答えました。

 

これはつまり、

Bグループの人達には、割に合わない報酬な上「面白い」と嘘をつかないといけない等の

大きな矛盾(認知的不協和)を抱えたため、

それを解消するために

「本当は楽しかった」と、考え方(認知)を変えたためと考察します。

一方で、Cグループの被検者は、

面白くないけど報酬が多くもらえるからと、大きな認知的不協和が生じず、

よってBの低額報酬グループの被検者のように、

作業に価値を見出そうとする心理は働かなかったからだろうと考えられます。

 

実験から分かることは、

自分の考えや行動に対して矛盾(認知的不協和)が生じると、人は、

自分の行動や考え方を変えることでストレスを解消しようとします

 

認知的不協和を解消しようとする働きは、

自分の心を強い葛藤から守るため必要なものではありますが、

焦ってお手軽な方を選ぶと、

後々大きな心の傷となってしまうかもしれませんね。