マンガ ことはの心理相談室

臨床心理士が描く心理療法マンガ

「これだから○○は」という台詞の役割

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脳は騙されやすい。
「〇〇だから」という理由づけをすることで
納得しやすくなる。
その理由が妥当かどうかは別として、である。

ある時僕は、
電話口で友人の女性に愚痴を聞いてもらっていた。

延々と続く僕のマイナスな話に腹が立ってきたのか
彼女は

「あなた、部屋の中が散らかっているんじゃない?」
と、言って僕を責めてきた。

僕がふがいないのは
部屋が散らかっているから、不要な物がいっぱいあるからだと。

しかし僕は
定期的に断捨離をする習慣があり、
部屋にあるのは必要な物ばかりで、散らかりようがないのである。

なので
何の現実的根拠もなく、
僕の部屋が散らかっていることにされたことが
非常に不快、かつ訳が分からない思いであった。

文化庁長官にして臨床心理学者の
故・河合隼雄氏が言っていたが
人は真実解明を求めるのではなく
納得を求める生き物であると。

…おそらく彼女は
問題に遭遇した時いつも部屋を掃除することで
心を落ち着け対処してきたのだろう。
「部屋をきれいにしていない者にはマイナスのことが起こる」が
彼女にとって
最も納得しやすい理由となっているのだ。

なので
「これだから○○は」というセリフは
真の原因が語られているわけではなく
言っている人間が
自らの過去の経験の中で
自分を納得させやすい一番の理由を
採用しているだけだったりするのだ。

(人はそれを偏見と呼ぶ)

 

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